2011年4月15日金曜日

震災備忘60 原発疲れで浮かんだ映画

◎原発疲れか、頭の中にある映画の映像が出てきた。米映画「渚にて」と巨匠黒澤明のオムニバス作品「夢」の中の「赤富士」。

◎「渚にて」は映画より相当遅くれて青空市で見つけた古本で原作がネヴィル・シュートの(原題「on the beach」)と初めて知った。舞台がオーストラリア、メルボルンとあって、豪州バンドのエア・サプライを担当した際、プロモーション・トークはまず「渚にて」を導入部にして興味喚起的に散々使わせていただいた。

◎第3次世界大戦で北半球を汚染した放射能が刻々と南半球オーストラリアに迫るくだりの死を前にする人間の尊厳の表と裏。全滅したと思われるアメリカから流れる意味不明の謎のモールス信号音に希望を託し米原潜「スコーピオン」が発信地を北帰行して発見した発信元のシーンが極めつけです。悲しいほどの落胆に消沈した覚えがあります。あれは本当に悲しかった。最後に原潜も自沈するのもまたしかり。核への警鐘に富んだ映画であります。

◎「夢」。言っちゃいけませんが、黒澤監督の後期というより末期作品はいろんな意味で毎度失望も含み複雑な気持を強いられます。とくにオムニバス映画「夢」はその冴えたる存在でした。

◎中でも特に気色悪い印象に支配されたのは、「赤富士」編でした。しかし今になってあれがこれ(震災、原発危機)の正夢だったと思ってしまいます。さすがに彼の感受性と発信力には唸らずに入られません。凄い。

◎夢の一片は、放射能監視用に各放射性物質に着色する技術を確立した人類。映像は極めて鮮烈でこれがまさしくアイロニックに恐怖を煽るので正直あまり見たくない作品でした。いまも、です。多分youtubeにあるかも。