2011年4月15日金曜日

震災備忘58 旅こそ終の棲家なり

◎その昔、約30年以上も前の頃。知人のネグラはトヨタのタウンエースなる小ぶりなワンボックスカーだった。住所不定では困るので知人宅を住所にして一応社会人の体をなしていた。

◎映画制作関係の仕事柄不規則で家は寝るだけ。あるときいつものように仕事場をクルマで移動中に「なんじゃ?クルマが、家じゃん!」と割り切った。以来駐車は公園に近いところを利用。公園には、水もトイレはある。夏は海水パンツで水浴びし風呂がわりに。問題は不審車とあって警察の尋問で深夜に起こされることくらいだとお聞かされた。その後どうなったか定かでない。

◎こっちもそれに習ったわけではありませんが、ちと似た生活をしたことがあります。3畳一間に半畳板の間の台所で風呂無しトイレ付きの一軒家を偶然見つけて、6千枚のアナログ盤と本を処分して即引っ越した。お家賃が1万3千円也。1982年から85年まで続いた。

◎問題はお風呂。音楽稼業って深夜帰宅なんてザラ。銭湯が開いている時間になかなか帰宅が出来ない。そんな訳でスタジオの進行状態次第でチョイ抜けして銭湯通い。「ケンさん、お風呂タイムよ」なんて声がかかるくらいで「では行ってまいります」と自転車を漕いでしばしスタジオを後にしてスタッフやアーティストから笑いをとっておりました。今思うと、実はボク抜きのほうが現場が進んでいたのかもしれない。グス。

◎昨日10日ぶりに被災地からご帰還された片倉さんに会った際、いつものお迎えに来ていただき、いつものようにムーバ君に同乗。で、後部座席や荷物スペースを見たら、この人さすがにボーイスカウトで鍛えられただけに生活用品も小ぢんまりと荷物に整理され水も何日間分も搭載している。いざとなればこのまま避難ができる体制にある。こりゃ家だわと大笑い。さらにターボ搭載のKカーとあってパワーもあり取り回しも良く無敵だね。実際このムーバ君東西南北平気で一日難百キロとカッ飛びしているスーパーKであります。お陰で小さなキャンピングカーやトレーラーハウスへの興味がますます高まる今日この頃。勿論ソーラーパネル付きに改造してジプシー的生活がしてみたい。芭蕉の如く「旅こそ終の棲家」。憧れますなぁ。