2011年4月16日土曜日

震災備忘62 電話の向こう

◎土曜の夜。一番気が休まるとき。帰宅後早々立て続けに福島の悪友二人から電話があった。ふたりとも酔っていた。ひとりは小さなホテルの経営者。もうひとりは住宅建設会社の経営者。地震後の経営状態を訴える。ホテルの方は、10分おきの余震、原発、風評で客がまったく無いと嘆き感極まり涙声を発し自ら電話を切った。そんな声と行動は45年の付き合いで初めてだった。建築家は、空元気。いまでは震度3くらいではメシのハシも止めぬと笑い飛ばす。泣こうが喚こうがどうにもならんと自らに言い聞かせているような電話だった。

◎夜の巡回電話で来月帰郷すると父に告げると、「来っこどねぇ!」と一蹴。「放射能が収まるまで待て」ときた。日常冷静さを装っている本音が露呈。お互い気持ち悪いほど上辺の冷静さ合戦であります。こっちはとっくに人生勝負が付いているので随分前から捨て身でもう腹を括っておりますけん。なるようになるって。それでいいじゃないか。これ別にヤケクソでないので誤解なきよう。なかなか気が休まる土曜の夜にはほど遠し。